綜合ユニコム株式会社/月刊レジャー産業資料 2月号

国内グランピングは発展途上“第7世代”の施設開発で富裕層を狙う

 

Deluxs Japan㈱はオリジナルのドーム型テントを開発・販売している。数多くの実績を持つ同社は「国内グランピング施設は発展途上」だと指摘する。既在のグランピング施設は「手ぶらキャンプ」であり、これからは世界水準の第7世代といえるクオリティが必要という。競争力の高い施設開発について同社の知見をレポートする。

 

欧米並みの快適性と高付加価値で富裕層にも訴求する商品群

 Deluxs Japan㈱が展開するドーム型テントは、すでに国内20施設以上に導入実績があり、「里楽巣FUJINO(リラックスふじの)」(相模原市緑区)、「GRAX PREMIUM CAMP RESORT京都るり渓」(京都府南丹市)、「UFUFU VILLAGE」(静岡県伊豆市)、「Mt.Shakushi Gateway Camp」(山梨県富士吉田市)といった注目度の高い新施設への導入も進められている。
欧米で発祥し、近年は日本国内でも認知と普及が進んでいるグランピングだが、国内グランピング施設の多くは、欧米と比べていまだ発展途上といえる状態だ。
「日本国内のグランピング施設は黎明期を経て、現在は手ぶらキャンプを謳った“第4世代”、快適なドームテントを導入した“第5世代”が主流で、これらはトイレが共同であったり、空調設備が整ってなかったり、従来のキャンプ場と大差ありません。しかし、欧米のグランピング施設に目を向けると、富裕層をターゲットに快適性と付加価値の高い“第6世代”“第7世代”と呼ぶべき施設が主流です。日本国内のグランピング施設も、欧米並みの水準に進化させるのが、当社グランピング事業の狙いです」と同社代表取締役社長の前田雄一氏は語る。こうした狙いは、同社の主力商品であるドームテント「deluxs DOME」に、個別トイレ、ダイニングセット、ジャグジー、流水プール、サウナなどをセットにした新たなパッケージ商品「deluxsスイートヴィラ」にもみてとれる。
deluxs DOMEは、独自のフレーム構造で風や雪への耐久性が高く、専用ファンを用いた換気システムなどによる空調効果に優れ、防犯対策も万全な進化型ドームテントとして、高い評価を得ている。このdeluxs DOMEに、個別トイレやサウナといった設備をセットとすることで、快適性と高付加価値を提供することができる。
「当社が目指すのは、従来のキャンプの概念を超えた、いわばリゾートホテルなのです」と前田氏は話す。確かに、リゾートホテル並みの設備と快適性を有したドームテントは、施設展開の優位性が高く、欧米のように富裕層にもアピールできるだろう。
こうした優位性をさらに高めるため、同社では電気・ガス・水道がない場所でも開業できるモデルも開発中だという。
deluxsスイートヴィラ

遊休地を有効活用する開発提案や新ブランドでのFC事業にも着手

 同社はこれらドームテントなどのツール販売だけでなく、新規事業としてのグランピング施設開発の提案も積極的に行なっている。国内でグランピングの人気が高まるなか、老舗ゼネコンや建築会社の新規事業としてグランピング事業への参入を図る企業が拡大しつつある。特に地方では、遊休地の有効活用としてグランピングに着目する企業がふえている。同社では地方の有力企業と手を組んだうえで、高付加価値のグランピング施設を開設するためのツール提供から運営サポートまでをワンストップで行なう体制を整えている。

「絶景の観光スポット、釣りやサーフィンといったアウトドアスポーツの“聖地”など、地方には数多くの魅力的な観光資源が存在しますが、宿泊施設が整備されていないために十分に活用できていないケースも少なくありません。グランピング施設を開設することで、観光資源を最大限活用できれば、地域創生にもつながると考えます」(前田氏)。
そもそもグランピング施設は初期投資が抑えられ、高収益率を確保できるなどメリットは多く、地方でも成立する高い事業性がある。同社が土地を賃借して施設を開発し、企業に運営を委託する事業モデルも策定中だ。
昨今の新型コロナウイルス禍で苦境に立たされている旅館などの宿泊施設に対してもグランピング施設を新設する提案をしている。敷地内の遊休地に設置することで、新たな客層の取込みが期待できる。常設設備としてではなく、繁忙期などの期間限定でテントサイト一式をレンタルするプランも新たに策定するなどして、地方の観光事業の再生を強く後押ししたいとしている。

さらに同社ではグランピング施設のブランドとして「deluxsアウトドアリゾート」を新たに立ち上げ、FC事業としての展開をスタートする。旗艦店として京都府京丹後市にある同社のショールームを、2月に「deluxsアウトドアリゾート」としてリニューアルオープン。さらに、4月にはFC1号店をオープンさせ、順次FC施設を全国展開していく。
同時に、グランピング専門の予約サイトを立ち上げ、このサイトをとおしてFC施設の集客を図っていく。サイトと連動した各種Web戦略やSNSを活用した多角的な集客施策も、すべて同社がサポートする。

deluxsアウトドアリゾート
 施設の複合化にも着目する。たとえばワーケーション施設との複合化や、農園と複合させるグランピングファームなど、さまざまな展開を検討しているという。
「コロナ禍で大打撃を被った観光事業をはじめ、地方創生は現代日本の大きな課題となっています。当社では、グランピング事業を拡大することで、全国の地方創生を後押ししていく。そうした事業展開を考えています」と前田社長。
同社では施設の新設に加え、先にあげた旅館や、スキーリゾート、ゴルフ場といった既存施設の遊休地への展開にも注力し、FC展開も含めて、2年間で100施設のオープンを目指す。またFC展開を加速させるため各地でパートナー企業を募集している。Deluxs Japanの培ったノウハウをもとにパートナー企業と連携して、グランピング施設開発を支援・提案していく。

プロフィール

Deluxs Japan㈱
グランピング事業を主軸とした各種ソリューションを提供するDeluxs Japan㈱(デュラクス ジャパン)は、展示会プロデュースや販促ツール販売などを手がける㈱ゼンシンのグループ会社。ゼンシンは国内グランピング市場の草創期より事業展開をするなかでDeluxs Japanを設立、単なる販売会社にとどまらず、事業開発からグランピング施設運営までをトータルでサポートしている。

Deluxs Japan㈱